美食の歴史、ギリシャ料理
ギリシャといえば、長い歴史と神話・史実の混在、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の栄華に象徴されるヨーロッパ文明と民主政治発祥の国です。過去から現在に至るまで、独自の文化を頑なに守ってきました。そんなギリシャ人の食はこう例えられます。「ガストロノミー=美食」の発祥地であると。18世紀のフランス人詩人ジョセフによる造語ですが、原始時代の「肉を火で焼くだけ」という「料理方法」を「調理」にまで発展させたのはギリシア人の功績だというのです。確かに3000年以上の歴史の中で、ギリシャ人は食に美学を見出してきました。貴族になると、食事は今考えるフルコース以上の量と味わい。全て味わい尽くすのが礼儀と、お腹が一杯になってしまったら一度吐いてからまた食したという逸話があるほどです。時間もかかったでしょうが、常に新鮮な状態で食事は運ばれてきたというのですから当時から料理人の腕も鍛えられていたと言えそうです。紀元前4世紀にはペルシャの影響を受けて調理法が大きく発展しました。フェタチーズ(山羊のチーズ)やスペルト小麦・ワインなど現在に至るまでギリシャ人に親しまれている料理が生まれました。ところで、中央ギリシャで作られるレッツィーナという白ワインは、松脂で香りをつけたギリシャ独特のワインです。単独ではクセがありますが、ギリシャ料理と一緒にいただくとよくあう一品。ギリシャでは酷暑の中でワインの劣化を防ぐために、アンフォラという壷に松脂で栓をしたところ栓から香りが溶け込んのが始まりと言われています。現在では製造過程で最初から松脂を加えています。松木の含量まで規制しているぐらい、ギリシャ人はレッツィーナに誇りを持ち大事にしています。アルコールから話を外すと、オリーブオイルの多用が最大の特徴です。年間の国民の一人当たりのオリーブオイルの消費量は世界一です(約2000mlにもなります!)。ギリシャはギリシャ正教会の戒律で肉食が禁じられる期間が長くあり、野菜や魚介類を使うことが非常に多いです。タコを食べることができるのも欧州では珍しいのです。「タラモサラタタラモサラタ」はそんな戒律時に食す塩漬けした魚卵をほぐしたポピュラーなマッシュポテトです。「ドマトサラタ」はお皿たっぷりの薄切りトマトにオリーブオイルをかけて食す一般的な食事です。東地中海では当たり前のように使われるベシャメルソースは使われるようになったのは20世紀初頭と、つい最近なのですよ。
